『アオイホノオ』第3巻

アオイホノオ 3 (少年サンデーコミックススペシャル)

アオイホノオ 3 (少年サンデーコミックススペシャル)

誰だって、何者かになりたいし、自分の才能を信じたい。


でもそれは、誰にでもできることじゃないんだ。
はじめっから、ずば抜けた才能をもったヤツなんて、いやしない。
これだと思えるなにかを見つけたら、
ほかのすべてを捨てて、その可能性に懸けてみる。
そこではじめて僕らには、何者かになれるチャンスが与えられる。


そんな人たちが、この漫画には描かれています。
80年代のはじめ、漫画家を目指して芸大に進学した
作者自身の姿に加え、後に人物となる当時の同級生たちの姿。
エヴァンゲリオン庵野秀明も、そんな中のひとりだった。
そう、これは作者 島本和彦の自伝的作品なのです。


同級生のライバルたちの知識や実力に焦り、
出版社への持ち込みは手ごたえなしの空回り。
自分の才能を疑うことがあっても、それでも、嫌なことはすぐ忘れ、
なんでも自分に都合の良いように解釈し、次へと動き出す。
うん、これでいいんじゃない?と思ってしまう。


現在の僕らの周りには、情報が溢れている。そのせいで、
これかなと思った道も、すぐに無理だと思わされてしまう。
進みだしても、そいつらは常に僕らの意志を試してくる。
そういうときは、バカになるのがいいのかもしれない。
何も見えないふりをして、自分を信じ込んで。


アオイホノオを灯しつづけよう。彼らのように。