『乙嫁語り(おとよめがたり)』第1巻

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

こんな漫画あったのね。


12歳の夫と、20歳の妻。
ちょっとありそうな設定でも、
19世紀の中央アジアが舞台となると、
途端に今までなかったような物語に。


「ユーラシアの風が招いた、アミルの結婚」
「8歳の年の差を越えて、ふたりは愛を育んでいく……。」
などと帯には書かれているから、もっと恋愛モノくさい、
ともすればラブコメに近いような、話かもと思っていた。


でも読んでみたら、そんなことはない。
ふたりの暮らしを通して、この時代、この地域の
人々の生活様式や文化、価値観などが存分に描かれている。


弓を使った、ウサギの追い方や
地域に伝わる、木彫りのお守り、
夜の幕家(ゲル)での暖の取り方など。


そうした、生活シーンがベースとなった上で、
ふたりの絆が強く結ばれていく様子も、
丁寧に、じっくりと描かれていく。


そもそもふたりの結婚は、それぞれの部族間で決められたこと。
15〜16歳が結婚適齢期とされていたこの時代、
夫のカルルクにとっては少し早い、
妻のアミルにとっては少し遅いこの結婚。


勝手な都合で花嫁を取り戻そうとするアミルの部族、
それに対する、現在アミルが暮らす夫カルルクの部族。
そんな部族間の対立関係の中にありながらも、
夫婦としてともに歩み始めたふたり。


ふたりの幸せを願うばかりです。